2011/7/7 木曜日

【節電ライトダウン2011】 100V駆動 LED照明完成 【七夕】

Filed under: ハードウェア関連,日記,電気電子・情報関連 — ハイジんブルー @ 0:00:12

6月22日(夏至)の『節電ライトダウン2011』に部屋の電気を消してLEDの実験をしたことは書きましたが、その後、何とか照明の完成までこぎつけました。

今日は(本州では)七夕で『節電ライトダウン2011』の2日目なのでその詳細を掲載します。

初めにコンセプトを確認!

  • 低消費電力(高効率)
  • 少ない部品数(低コスト)

この2点を重視して制作しました。

使用したLED

コンセプトの1つが『少ない部品数』であるので、1素子で出来るだけ明るく光らせたい。よって秋月で売っているOptoSupply製OSW443Z4E1Pを用いました。

白色角型LED[7.6mm角]OSW443Z4E1P(10個入) – 秋月電子通商
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-04456/

一見普通のFlux LED型ですが、実は3つのLED素子が1つのパッケージにまとまっている。その証拠に薄らと点灯させると…

光点が3つ見えます。3つあるということは、つまり3倍明るい!(ハズ)

明るいのはいいのですが、3素子統合すると欠点もあってLED素子同士は直列につながっているので動作電圧は3倍となり、9V前後となる。電池駆動だとちょっと扱いにくくなりますが、今回は商用電源100Vで駆動させるため、むしろ好都合である。

一般的なLED駆動回路

図1  電流制限抵抗を用いた回路

図1に一般的によく用いられるLEDの点灯回路を示しました。LEDは電流値で明るさが決まり、また過剰に電流を流しすぎると故障してしまう。

よって、希望する電流が得られるように抵抗をいれて電流を制限する。

ただ、この方法では抵抗で電力の一部が消費されて熱に変わってしまう。特に、抵抗にかかる電圧が高くなると効率が非常に悪くなる。実際に今回用いる回路を100Vで駆動させた場合の消費電力を計算してみると、LEDの消費電力は約2.7Wで抵抗の消費電力は約0.5Wとなった。1/6くらいが抵抗で消費されてしまうので、今回は別の方法をとってみました。

リアクタンス電流制限回路

図2 リアクタンスを用いた回路

せっかく交流で駆動させるなら交流の特性をうまく利用すれば良い!

コンセプトその2『低消費電力(高効率)』を実現するのに電気回路の教科書に必ず乗っている簡単な方法を用いました。

図2のように交流回路に直列にコンデンサ(容量)を入れるとコンデンサの充放電の関係で容量リアクタンスが発生し、抵抗のように作用する。よって、電流値がコンデンサによって制限される。さらに、一般的な駆動回路の抵抗では電力を消費していましたが、コンデンサの場合は充放電の繰り返しなので電力消費は無い。(正確には多少ありますが、今回は無視できるレベル)

では、この容量リアクタンスXcの値がどのように決まるかを示すのが次の式。

f が交流の周波数で、C がコンデンサの容量。今回のLED照明は札幌で使うので周波数は東日本の50Hzとなる。

このリアクタンス電流制限回路以外にも定電流ダイオードやトランジスタを用いる方法がありますが、部品数がどうしても増えてしまいますので今回は用いませんでした。(というか計算がメンドクサイ…)

実は、百均とかで売っている安いLED豆電球とかもこの回路で動作していたりします。

以降は、この容量リアクタンスを利用して回路を組みます。

駆動回路の定数決定

今回用いるLED(OSW443Z4E1P)の定格電流は30mA。これを超える電流値で駆動することも可能ですが、それほど明るくならないし、定格以上では寿命も縮むため30mAになるように設計します。

まず、初めに図2のコンデンサに全電位(100V)がかかると仮定して計算します。30mAの電流が得たいのでオームの法則より

この容量リアクタンスを得るために必要なコンデンサの容量Cは

C=\frac{1}{2\pi f X_C}=\frac{1}{2\pi \times 50\quad[\textrm{Hz}]\quad\times\quad 3.33 \times10^3\quad[\Omega]}=0.96\times10^{-6}\quad[\textrm{F}]\ap1[\textrm{\mu F}]

となる。

実際に図2の回路でコンデンサの容量を1uFとし、LEDを直列に9個(実際には3素子なので27個)つないでみると、期待している30mAの半分程度の電流しか得られない

何故このようなことになるかというと、最初に「コンデンサに全電位(100V)がかかると仮定」したため。実際にはLEDで電圧降下が発生するため、コンデンサには50V程度の電圧しかかかっておらず、電流値も半分になってしまった。

「じゃ、最初からLEDの電圧降下を考えて計算すればいいではないか!」ということになりますが、LEDでの電圧降下はLEDに流れる電流値できまりますが、今回用いたLED(OSW443Z4E1P)は仕様書に「電流-電圧」特性が示されていない。よって、実際に試してみて電圧降下を調べるしかなかったわけである。

コンデンサに全電位(100V)がかかると仮定」としたのも安全を見たもので、コンデンサに全電位がかかっている際に最大電流となるので、これ以下になるようにしてテストすればLEDを壊してしまう可能性も低くなる。

このようにテストしてみたところ、30mA程度の電流を得るのに最適なコンデンサの容量は2.2uFとなった。

この写真が実際にテストしている様子ですが、32.8mAの電流が流れていることがわかる。

100V駆動 LED照明回路

では、実際に作った回路を図3に示す。

図3 100V駆動 LED照明回路

C1が電流制限に寄与しているコンデンサ。先ほど計算と実験より得た値2.2uFのポリエステルフィルムコンデンサを用いる。耐圧は250V。

R1は無くても回路としては動作しますが、コンセントを抜いた後にC1に残った電荷を逃がすために付けました。ここがツーツーだと容量リアクタンスが働かなくなるので、抵抗値は高くしてあります。

R2は突入電流防止として小さな値の抵抗を。もう少し大きい方がいい気がするが、手元に良い値の在庫が無かったもので…

B1はブリッジダイオード。LEDは一方向にしか電流を流さないため、交流を流すと図4の赤いプラス部分しか電流が流れず、50Hzだと0.01秒おきに点灯/消灯を繰り返す。

図4 半波整流時のLED点灯(50Hz)

実際にこの状態でLEDを見てみると高速で点滅しているのはわかる。

チラチラしていては照明として不都合なので、B1のブリッジダイオードで図5のようにマイナス部分がプラス側に来るようにしている。

図5 全波整流時のLED点灯(50Hz)

こうすることで点灯/消灯の周期が短くなり人間の目からは点滅しているのは見えなくなる。

最後にF1ZNRはともに保護素子。

F1はフューズ。万が一コンデンサ等がショート側で故障した際などに電流が流れすぎるのを防ぐために挿入。いわば最終手段の自爆スイッチですね。

ZNRは、静電気や落雷などでコンセントから非常に高い電圧が入ってきた際に回路を保護するために入れました。

実際に加工開始

「せっかく照明にするならそれなりに見た目にこだわりたい!」ということで、今回は筐体にコの字のアルミチャンネルとアクリル板を用いました。

どちらもホームセンターで買えるものです。

幅は15mmで長さは1000mm。できるだけ加工数を減らしたかったのでアルミチャンネルとアクリルのサイズがピッタリ合うものを買ってきました。

この幅だとFlux LEDがちょうど1個入るくらいなので、9個のLEDを直列に実装したモジュールを3枚 並列に並べることにしました。

最初はLED以外のパーツもチャンネル内に入れようと思っていたんですが、コンデンサが大きくてギリギリ入らなかったので、別途電源回路部として別のケースに収めることにしました。

ちなみに、アルミチャンネルを用いたのには見た目以外にも、もう一つ理由があって、LEDの放熱も考えてます。さすがに、パワーLEDのようには発熱しませんが、今回用いるLED(OSW443Z4E1P)は3素子内蔵型だけあって、定格動作させているとほんのりと暖かくなってました。LEDは熱に弱いですし、27個も用いるので、しっかり放熱できるようにするためにアルミにしました。

まずは、基板の加工。

15mm幅なんてマニアックな基板は簡単に手に入らないので、市販品のユニバーサル基板を加工して15mm幅にしました。

この作業を一言で表すなら『気合!

アクリルカッターで地道に削って、最後は力技で割る!

100V駆動だし、LEDの発熱量がどの程度かわからなかったので、ガラスエポキシ基板を用いましたが、正直 紙フェノールにしとけばよかったと感じました(^^;)

次に、LEDを実装していきます。

LEDは熱に弱いのでヒートクリップで放熱しながらはんだ付け。半田も熱負担がかからないように共晶半田と22Wの半田ごてを用いました。それでも、実装したLED27個中1個がお亡くなりになりました。うぅ~ん、修業が足りないようだ…

ちなみに、余談だが今回用いたLED(OSW443Z4E1P)、足の長さの加工精度があまり高くないようで、100個買いましたが10個に1個はやたらと長いのが混じってました。高さや向きをそろえて実装できるのがFlux型LEDの特徴なので、コレは痛い… 途中でアクリルのフタが閉まらなくて作業をやり直しました… 高さに精度を要する場合は選別してから作業した方がよさそうです。

話を戻して、完成したモジュールはこんな感じ。

基板の長さの都合上2枚の基板に分離しました。右端に黒い素子がありますが、これが回路図のB1にあたるブリッジダイオード。電源回路部に実装してもよかったんですが、配線のプラスマイナスをつなぎ間違える危険性を考えてLEDモジュール側に実装しました。

LEDモジュールは最後に裏面をエポキシで固めました。

高さに制限があるためスペーサーを使えないので、基板の裏面の絶縁を取るためにコーティング。LEDが故障したら修理が大変ですが、まぁ、根性でエポキシを引っぺがしましょう(^^;)

そうして、完成した部品がこんな感じ。LED部のモジュールが3枚に電源回路部が1枚。

で、組み立てるわけですが、組立は特筆するようなこともないので以下略!(゚Д゚)クワッ

ちなみに、アクリル板ですがそのまま用いる非常に透明度が高いので中が丸見え。

そこで、アクリル板の内側の面のみを紙やすりで傷をつけました。

すりガラスみたいな感じなります。

こうすると、LEDの光は拡散されるようになって眩しさがかなり和らぎました。直視できないくらい眩しかったですが、これなら直視しても大丈夫。

完成!

そして、完成したLED照明。

アルミを使ったので軽く仕上がったため、天井への固定は両面テープでOKでした。地震とかで落ちてこないかと思いましたが、位置を修正するために無理やり引っぺがそうとしたら天井の壁紙がはがれましたΣ(゜д゜lll)ガーン どうやら、落ちてくることはなさそうです。

さすがに、蛍光灯のシーリングライトの置き換えを行えるほど明るくは無いですが、LEDの指向性を生かして作業机周辺が明るくなる補助照明としました。

天井に付けた状態でも、机の上では卓上の24W蛍光灯と同程度の明るさが得られています。ちょっと薄暗くてもいいならシーリングライトもOFFにしても問題ないですね。

LED照明の取り付け位置ですが、液晶ディスプレイのフードでLEDの光が液晶に映らないように調整しました。自作照明ならではの自由な設置ができるのも利点ですね。

ちなみに、仕様書ではLEDの色温度は6500Kとなってましたが、正しく測る方法が無いんですが、見た感じもっと高くて7500Kくらいありそうですね。暖色系の照明が好きならもっと色温度が低いものにしたほうがいいかもしれませんね。

気になる消費電力は?

最後に消費電力をチェック。

まぁ、各LEDモジュールに30mA流すように設計して、3モジュール用いたので合計90mA。消費電力は当然9W程度となります。

部屋のシーリングライトが18W蛍光灯を6本も使っているので100W。(震災以降節電しようと2本に減らしたので現在は36W)ちょっと薄暗くてもLED照明だけで過ごせば10Wとかなりの節電が可能になる。

まとめ

さすがに、メインの照明を置き換えるには至りませんが、ちょっと薄暗くてもいい時や、部屋を部分的に明るくしたいときの補助照明としては十分な力を発揮できました。

材料費は全部で約4000円。LEDが1000円くらい、筐体類が2000円、ユニバーサル基板が500円、電子部品が500円くらい。容量リアクタンスを利用して部品数を減らしたため電子部品代がすごく少なくて低予算で済みました。実際、同程度のワット数で動作するLED照明をホームセンターで確認したところ1万数千円しました。安い!

参考資料

パナソニックさんが公開しているLED照明用の回路↓

LED照明機器用ソリューション – Panasonic
http://industrial.panasonic.com/jp/i/00000/led_solution/led_solution.html

注意事項

お約束なので書いておきますが、この記事を参考にして制作する場合は自己責任でよろしくお願いします。特に、高電圧を扱う回路ですので部品の耐圧、感電やショートには十分に注意してください。また、今回の回路は東日本の50Hzに合わせて設計していますので、60Hzでは期待通りに動作しません。

2 Comments »

  1. こんな記事を発見!

    無効電力を有効利用するLED照明(試作と応用編)- EE Times Japan / EDN Japan
    http://ednjapan.cancom-j.com/issue/2011/11/93/8593

    掲載されているLED照明の動作テスト方法がかなり参考になります。

    Comment by ハイジんブルー — 2011/11/2 水曜日 @ 23:20:07

  2. はじめまして。
    LEDでデスクスタンドを制作しようと思い、WEB検索から訪問しました。
    有意義な情報で本当に参考になります。
    当方の電気の知識が頼りないのでおうかがいします。

    ・F1の 0.2mA というのはとても低い値に思えるのですがどうなんでしょうか?

    ・テスター画像のところの、実測値32.8mAはどの端子間での値でしょうか?

    以上2点、よろしくお願いします。

    Comment by ぶるぶら — 2015/4/28 火曜日 @ 18:20:53

RSS feed for comments on this post. TrackBack URL

Leave a comment

HTML convert time: 0.646 sec. Powered by WordPress